日本ウイグル国会議員連盟 (JUPC)、中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟(JPCHC)、そして、世界ウイグル会議(WUC)が、日本ウイグル協会 (JUA)や対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)と協力し、世界各国のウイグルを応援する国会議員連盟のメンバー等ウイグル問題に取り組んでいる国会議員らを集めて「国際ウイグルフォーラム:各国国会議員間の国際会議」を、日本の国会(衆議院会館)で、2023年10月30~31日に開催します。
この会議では、ウイグルジェノサイドと残虐な人権侵害(人種差別、肉体的・精神的拷問、強制労働、国境を越えた迫害等)に対する国際的な対応に焦点を当てて、各国の国会議員間の連携を促進すると同時に、現状の課題とそれを打破するための方策について議論します。また、香港の民主主義制度の侵食や台湾周辺の軍事的緊張等、アジア太平洋地域の平和と安全に対する中国の脅威についても議論します。
2023年5月現在、11の議会(米国、英国、フランス、カナダ、ベルギー、オランダ、チェコ、アイルランド、リトアニア、台湾、そして、欧州議会)と一つの政府(米国)が、ウイグル人に対して犯されている犯罪をジェノサイド(特定の民族などの集団を破壊する目的で行われる集団殺害、およびそれに準ずる行為)や人道に対する罪に該当すると公式に認めています。昨年、日本の衆議院と参議院の両方がウイグル問題に関する歴史的な決議を採択しています。
2022年8月、国連人権高等弁務官事務所が報告書を発表し、ウイグル人に対する人権侵害は人道に対する罪を構成すると認めました。国連では、主要な民主主義国家が毎年共同声明を発表し、ウイグル人に対する非人道的犯罪の即時停止や独立した調査を求めています。2022年10月、国連総会の人権問題を扱う会合で、日本を含む50か国がウイグル問題で中国を非難する共同声明を発表。同年11月、国連人権委員会が中国に対し、拘束されたウイグル人の解放を求め、被害者に「救済と賠償」を提供するよう勧告しました。
英国に設置された国際法や人権問題の専門家で構成する独立調査委員会「ウイグル特別法廷」が2021年、数年間に及ぶ情報収集と18か月に及ぶ調査の末、ジェノサイドと人道に対する罪がウイグル人や他のチュルク系民族に対して行われているとの結論を下しました。世界的に知られる人権団体(ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナル等)も相次いて調査報告書を発表し、中国がウイグル人らにジェノサイドや人道に対する罪を犯していると結論付け、国際社会に行動を求めています。また、ますます多くの
NGOが、世界を巻込むグローバルサプライチェーンにおけるウイグル人強制労働の高いリスクへの懸念を強めています。
米国では、ウイグル人への人権侵害に関与した中国当局者に制裁を科す「ウイグル人権政策法」とウイグルからの輸入を全面禁止する「ウイグル強制労働防止法」の2つの主要な法律が施行されたほか、ウイグル人への人権侵害を理由に複数の個人、団体、企業に制裁を科しました。
このように、ウイグルジェノサイドを終わらせるために各国政府・議会、人権団体等が様々な手段を尽くしてきましたが、残念ながらウイグルジェノサイドは依然として続いています。ウイグル人の強制労働で作られた製品の輸入や、ウイグル人の人権侵害へ悪用される監視技術の輸出等、先進国がこれらの犯罪行為を助長する側面も続いています。中国がウイグル人らを滅ぼすのを世界が放置すれば、その暴挙モデルが輸出され、周辺地域や全世界にとって大きな脅威となるのは間違いないでしょう。
一刻も早くこの悪夢を終わらせるために、世界各国の有志の政治家や専門家が連携して早急な行動を起こす必要があり、今回の国際フォーラムの開催が必要になっています。
日本は、アジア太平洋地域において、ウイグル人や他のチュルク系民族の人権に対する進行中の残虐行為を公に非難し、認めた最初の国であります。第2次安倍政権の2019年以降、国連でウイグル問題を非難する共同声明に、欧米諸国以外で毎年署名してきた唯一の国が日本であります。現在の岸田政権は、選挙公約に史上初めてウイグル問題への対応を明記し、国際人権問題担当の総理大臣補佐官を新設する等、人権外交を重視しています。
安倍晋三元総理のご尽力により、日本の国会で世界に先駆けてウイグル議連が設立されたことが世界の模範となり、多くの国でウイグル議連が誕生しました。また、中国の首脳らに世界で初めてウイグル問題を直接問題提起し改善を迫った安倍晋三元総理の意志を継ぐ議員の先生方が、超党派の「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」(会長:古屋圭司衆議院議員)を昨年末に発足させており、活躍が期待されています。
今年は、日本がG7の議長国となり、広島でG7サミットを開催します。強制労働や人権問題は今回のG7首脳の優先課題でもあり、日本を含む各国が強い支持を示しています。
このような背景からして、日本は、ウイグルに関する各国国会議員間の国際会議の開催に最も適していると考えます。
主要な民主主義国家の国会議員、政治家、ウイグル人権擁護者、市民社会代表、学者、法律の専門家、ジャーナリスト、ウイグル人のリーダー、証言者、強制収容所の生還者、世界各国のウイグル人活動家を含む、計150名程度の参加を想定しています。
今回の国際会議の目的は、ウイグル問題で積極的な各国国会議員、政治家、人権擁護者、市民社会代表、学者らの間で連携を促進する等重要なネットワークを構築し、ウイグルジェノサイドを終わらせるための具体的な行動に連携して取り組むよう促すことです。